2022.05.10
【M&A BANK特別コラボ回(後半編②)】企業価値●●●億⁉アシロ中山社長登場!ベンチャー創業→会社売却→IPOと二段階イグジットを実現した裏話を話してもらいます
今回は、M&A BANKさんとのコラボ企画!バイアウトファンドへの売却→IPOを実現したアシロ中山社長をお迎えして、対談しました!
出演者の経歴
〇中山 博登氏 株式会社アシロ 代表取締役社長
1983年、京都府生まれ。株式会社ワークポート、株式会社幕末(現:イシン株式会社)を経て2009年11月に(株)アシロを設立、代表取締役就任。
〇島袋 直樹氏 M&A BANK株式会社 取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
動画の書き起こし
こんにちは。どうも宮崎です。今日は(株)アシロの中山博登さんと(株)M&A BANKの島袋直樹さんにお越し頂いております。
今回は後半編②です。前半編はM&A BANKさんのYouTubeチャンネルに公開されており、後半編①は弊社のYouTubeチャンネルに公開されています。是非そちらもご覧下さい。
~前半編~
~後半編①~
また、後半編①のYouTube動画の書き起こし記事はこちらです。
本編
<中山氏>
宮崎さんが全然質問をしてくれないので自分から話そうと思うのですが、このスキームって一般的に「二段階イグジット」と呼ばれると思うのですが、IPOで”イグジット”という言葉を使うのはおかしいなと考えているんですよね。上場企業の仲間入りをするようなイメージなので、”エンター”の方が表現として正しい様にも感じます。全然”イグジット”という気持ちもありませんし。
一般に、 M&A 取引での会社売却を検討する会社は、キャッシュフロー(CF)が回っていて利益が出ていると思うんですよ。赤字の会社のケースは比較的少ないと思います。そうすると、「自社で成長する力」を既に確立できているので、ベンチャーキャピタル(VC)等からの外部資本を調達する必要はないとも言えると思います。
特に、創業社長自身が最も自社の成長に関しての最適な資本政策を認識していると思います。それらも総合的に考えた上で、「もっともっと違うことをしてみたいな」と思われたりとかして、M&A(会社売却)を検討されることが多いと思うんです。
でも実際、バイアウトファンド(BO)の人達と直に話してみて感じたこととして、意外にベンチャーキャピタル(VC)等よりも、自分達でマジョリティ(経営支配権)を取得して筆頭株主になる分、BOの立場だと、「ハンズオンでの経営等に尽力し、IPOを実現させるまで積極的にコミットしないと採算が取れない」という姿勢を持たれているんだなと感じました。
また、BOの立場的に、ベンチャー企業・スタートアップ企業といったMid-Smallの投資案件だとM&Aでのイグジットで投資回収することは中々難しいと思うので、かなり積極的に「IPOの実現」にコミットしてくれると思います。起業家が持ってなかった視点の提供、戦略的に会社同士を繋げる力、企業価値向上のための経営戦略の組み上げ、といった形で起業家自身の視座を高められる可能性があります。
なので、キャッシュフロー(CF)が出てて、外部資本を調達する必要性が乏しく、直近でのIPOは検討していないという場合は、M&Aの専門家やBOの人達に相談してみて、協力を得ながら「二段階イグジット」を検討していくのは、有力な選択肢の1つだと感じています。
<島袋氏>
二段階イグジットを実現した起業家の一人である中山さんの話は本当に説得力ありますね。もともと100%売却志向だったのに、株式の一部を放出して、上場を実現されていますから。
<中山氏>
そうですね。たとえばBOの人達は、社外取締役の紹介や事業シナジーのありそうな業務提携先の紹介など、一生懸命ハンズオンしてくれるんですよ。自分達だと中々お付き合いできない様な会社さんをいきなり紹介してくれたり、自分達だけでは到底できない規模感・ストラクチャーで資金調達を実行できたりとか、色々なことが起こるんですね。
経営者としての視点が広がり、視座も高まっていくのもあって、バイアウトファンドに投資してもらうまでは全く想像していなかったIPOが一気に現実味を帯びて感じる様になりました。そういう意味でも先ほど述べた様な会社さんにもお勧めできます。
あと他にも別の起業家のケースにも触れたいと思います。ドベンチャーという感じではないんですが、西日本で最大手のコールセンターで(株)ダイレクトマーケティングミックスという会社があるんですけど、そこの小林社長とは同い年なのもあり今仲良くさせてもらっているんですが、彼の会社も実はアドバンテッジパートナーズ(AP)さんが最初に入って、次インテグラルさんも入った様なファンド案件だったんですよ。
実は、創業者の方はセルアウト(※M&Aでのイグジット)されていらっしゃるんですよね。当時No.2の小林さんがその後のオペレーションを引き継ぎ上場までさせたんですね。当時の小林さんからすると、ある程度のストックオプション(SO)をファンドから付与してもらって、上場・IPOへの十分なインセンティブを持って、バイアウトファンドと共に上場を実現させました。
ちょっと規模が大きい会社さんなので、私の会社ほどのドベンチャーじゃないので、宮崎さんが前回の動画で触れたようなケースではないんですが、一応、「ファンドが買って上場までした」というケースであるとも言えると思います。
<島袋氏>
確かに。
<中山氏>
なので創業社長が経営から退き、保有株式を全部売却してもいいんですが、No.2が「この事業を続けたい」と考えていたら、実はオペレーション等はNo.2の方が得意なのであれば、No.2はリターンを得られる様に交渉して、創業社長にストックオプション(SO)をつけるのではなく、No.2にストックオプションを付与し上場まで持っていく、といったケースも私は全然アリだと思います。
<島袋氏>
なるほど。
<宮崎>
最近話題のサーチファンドもそれに近いとも言えますよね。EBOやMBOといった意味合いでということですけど。
<島袋氏>
私も複数の事業を運営しているので、そのような選択も結構ありかも知れないなって思いました。
<中山氏>
逆に、バイアウトファンドさんにお勧めできないこととして、ドベンチャーすぎるとプロ経営者を引っ張ってきて経営を任せると上手く行かない気がします。
<島袋氏>
あ!そうなんですね。
<中山氏>
中小企業で売上が数十億~数百億ある会社って、オペレーションの改善とかコストの削減とかで、筋肉質になって利益体質になることがあると思うんですけど、創業から5~10年しか経ってないドベンチャーとかは「ここから伸ばし成長さなきゃいけないところ」が多い訳です。
結構比較的、「プロ経営者」と言われる人達だとそういう事が苦手な方が多いと言えて、現場の叩き上げでやってきた人達の方がそれが得意です。「事業だけ良いから経営者をすり替えて上手くいかせよう」といったケースは結構うまくいかないことが多い。
<島袋氏>
なるほど。なるほど。
<中山氏>
そう〇〇さん(※先輩経営者)が言ってました(笑)
<島袋氏>
なるほど。あの人2回売っているからな(笑)
<宮崎>
意外とみんな知らないのは、この話の延長で、バイアウトファンドが買収する場合、経営者に株式を10~20%程度継続保有してもらうこともあるんですが、基本一度100%株式譲渡するんですよ。そしたら、売却対価として獲得したお金のうち、仮に10%残すのであれば、10%分ファンドに再投資をして買うみたいなことをするわけです。
仮に、100%株式譲渡の対価が100億円だとすると、その中の10億円を再出資し10億円の株式を取得すると思うじゃないですか、でも実はそうじゃないんです。ファンドはLBOという金融手法を活用するので、たとえば、買収資金100億円の半分を銀行貸付で調達していたとしたら、100億で売却した後に、10億円ではなく5億再投資するだけで、株式10%を獲得できます。
だからLBOの効果を享受するという点では、オーナー経営者が再出資することで自身も恩恵を享受できるので、そういう効果を上手く利用して、先ほどのNo.2の方が株を多く持つ形で第二創業的な形で実現できたという要素もあると思います。簡単にいうと、1000万円の元金で2倍のレバレッジを掛け2000円分相当の投資ができるということも起こるということです。
意外とそういうレバレッジを駆使したバイアウトファンドのディールというのは、少ないお金でその次の株主になるということができたりするので、意外とNo.2、No.3の人達は出資しやすくなる訳です。バリュエーション自体は変わらないのに、半分の元手で投資ができるので。
実際、バリュエーション100億円の投資案件であっても、自身の持ち金の50億円で買収投資を実行できるわけなので、ハイリスク・ハイリターンの投資も選択できるということは、知っているだけで結構プラスなんですよ。
<島袋氏>
ではあれですね、二段階イグジットを検討しているオーナー経営者さんがいましたら、あと利益やCFが出ていて外部資本を調達する必要性を感じていないけれでも目標を見失っている人がいましたら、是非宮崎さんのところに問い合わせて下さいということですね。
<中山氏>
(笑)
<宮崎>
あ、だ、ありがとうございます、あの、そういう、オチにして頂けると、私は凄く嬉しいです。じゃあ、そんなところですかね。今日は島袋さん、中山さん、お越し頂きありがとうございました。私にとっては凄く記念の日でした。ありがとうございました。
<中山氏>
ありがとうございます。
<島袋氏>
ありがとうございました。