弊社が行わないこと

弊社が行わないこと

買主側の支援

→弊社は売主側の支援に特化します。当然、「買主側支援」を行わないことは事業機会を「捨てる」ことと同義です。しかし、これを許容し、「売主側支援」に特化することで、売主側支援のデータ、経験、ノウハウ等が集中的に構築されます。この「売主側特化」という方針を長期間取り続けてきたことこそ、弊社が誇る業界随一の売主側顧客満足度及び高い売主側M&A成功率の土台となっており、弊社はこの方針を引き続き貫くことを戦略としています。

案件規模20億円を下回る蓋然性が高い場合の売却専門M&Aアドバイザリー業務(※)

→弊社は規模20億円以上の場合に限り売却専門M&Aアドバイザリー業務を提供します。これにより1件当たりのリソース投入を増加させることができ、かつ中型~大型の売主側M&A支援のノウハウが蓄積されています。また、もう一つ重要なファクトは、数億円規模の小型の売却側M&Aと数十億円規模の中型以上の売却側M&Aでは、必要とされるノウハウや経験が大きく異なるということです。弊社は中型以上の案件に特化することでこの領域のノウハウや経験を集中的に蓄積しています。

M&A業務において買主側・売主側双方から成功報酬を受領すること

→弊社は売主側のみからしか成功報酬を受領しません。M&A支援の局面においては、双方から報酬を得ていては「確実に」踏み込めない深い領域(双方の利害に重大な影響を与えるような領域)があります。弊社は売主側のみからしか成功報酬を得ないことで、あらゆる局面において売主利益最大化にコミットメントできます。ただ、M&A支援においては本来はそれが「当たり前」のことです。

弊社が定めるESGポリシーに鑑み不適当なM&A案件の受託

→弊社ESGポリシーに鑑み受託できない場合を設定しています。正しいM&Aの実行は社会的な価値最大化に繋がります。これに逆行するような業務は行わないようにしています。

担当者一人の能力/スキルに依存したサービス提供

→弊社全メンバーが全案件に対して知恵を絞ります。このメンバーには代表の宮崎も含まれます。逆にいえば、弊社の案件は全ての案件に代表の宮崎が関与しますし、複数のプロフェッショナルの確認のもとで遂行され、全員が全案件に対して「思考」することが義務付けられています(「思考なく惰性で案件を進める」ことは許されない)。M&A支援の成否はプロフェッショナル個人の能力と「思考」する時間をどれだけ割けたかに依存します。だからこそ、精鋭のメンバー全員が一つの案件に集中し、複数のプロフェッショナルが「思考」を重ねることで、他にはないレベルの「気付き」や「価値提供」が可能となります。この仕組みにより、弊社では担当者に依存しないサービスクオリティを実現しています。

※セカンド・オピニオン業務を除きます(セカンド・オピニオン業務は案件規模を問わず受託可能です)。本判断は弊社引受審査により判定しますので、会社規模問わずご相談自体は常時受け付けています。弊社でお引き受けできない場合は有力なM&Aアドバイザリー会社をご紹介させていただいています(弊社のリソースに起因して案件受託できかねる場合も同様の対応となる場合があります)。

本ルールを設定した目的

本ルールを設定した背景については前節でも触れていますが、極めて単純にいえば「顧客と弊社自身のため」です。換言すると、以下の3つの目的達成のためということもできます。

 

・「会社売却」等の得意領域に絞ることで当該領域の技術・ノウハウを向上させること
・1つのM&Aプロジェクトに集中し顧客利益の最大化を図ること
・弊社自身の業務効率化

 

一例を挙げれば、この定めにより、弊社が旧来から得意とする「売却側支援へのフォーカス」が強まり、当該領域の技術・ノウハウがさらに向上しています。また、「中規模~大規模」の会社の支援にフォーカスすることで、1件当たりに投下できるリソースがさらに充実します。また、弊社が同時に受託している案件数も自動的に絞られることになるため、毎朝行われる弊社全社会議において、弊社代表含めた全メンバーが全プロジェクトに対し知恵を出し合うことが実現されています。その結果、担当者依存が解消され、細やかかつ重要論点の見逃しを防ぐ支援が実現され、顧客への提供価値最大化が図れています。

 

このような事業スタイルは昨今の拡大志向を目指すM&A業界の流れとは逆行するものです。もし弊社が上場または上場を目指している企業の場合、毎月の利益最大化等が求められ、このような方針は採用できません。これほどの領域フォーカスは、収益チャンスを逃し、また収益安定性も失うことに繋がるからです。弊社は、毎月の利益最大化を求める必要がない事業環境にあるため、それらのネガティブな要素を敢えて容認してでもこのようなフォーカス戦略を採ることができ、これが顧客への価値に直結しています。

 

さらにいえば、この支援スタイルは「創業者の人生」を守るものともいえます。M&Aは顧客の「人生」や「企業運命」自体を変え得るものであり、その支援者は医療に類似する倫理感をもって実務を執行すべき義務を負うと弊社では考えます。特に創業者による株式譲渡に分類されるようなM&Aは、その創業者の人生の過去の時間の大半を経済的価値に置き換える作業ともいえます。このため、本来成功するはずであったM&Aを失敗に導いてしまうことは、創業者の過ごしてきた人生の過去の時間の大半を「経済的に無かったものとする」ことでもあります。このことは、医者が医療ミスにより患者の命(=つまり「人生という時間」)を奪ってしまうことに近いことであると考えています。このため、正しいM&A支援は「創業者の人生」を守ることと非常に近しい意味を持つと弊社では考えており、だからこそ「弊社が行わないこと」を定め徹底する方針をとっています。

 

「弊社が行わないこと」を定めることは、表面的な影響のみを考えるとM&A事業者である弊社にとってはネガティブな要素ばかりに見えますが、弊社としてはこのような支援スタイルであっても長期的には弊社にも果実がもたらされると信じています。それを示す一つの論拠として、弊社のM&A案件獲得チャネルのうち「過去の顧客からの紹介」が占める割合が極めて高いことが挙げられます。このことは、弊社自身が短期的に急拡大したり、上場する/目指せるような急成長を実現することは期待できないものの、長期的に弊社の方針が顧客側にも広く理解されることで、弊社自身の将来CFの長期安定成長に繋がることを意味しています。

 

このため、弊社ではこの「フォーカス」を行うことで、顧客へ提供できる価値の最大化とともに、長期的には弊社の価値最大化に繋がるものと考え、戦略的に本方針を採用しています。