株主資本コスト

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 株主資本コストとは、市場ポートフォリオの期待収益率をベンチマークに個別企業特有のリスクを織り込むことにより推定される、投資家が株式投資を通じて認識する期待収益率(機会費用=オポチュニティ・コスト)のことです。

 

 現在、M&A等をはじめとする金融実務や、ファイナンス理論やポートフォリオ理論等にかかる学術研究等のスタンダードな理論として広く用いられている手法が、「CAPM(資産負債価格モデル)」であり、株主資本コストの算出で幅広く利用されています。

株主資本コストとCAPM

 一般的に、負債コスト(債権者の期待収益率)が有利子負債利子率や公社債利回り等から比較的容易に推定可能であるのに対し、株主資本コストを直接的/間接的に明示にしているものはございません。そのため、無数の投資家のリスク認識が集約される資本市場の情報を基礎として、評価対象企業の株主資本コストを導出しようというアプローチが採用されます。

 

 この考えのもと、最も理論的な方法として広く普及した理論が、アメリカの経済学者シャープらが提唱したCAPM理論であり、リスク資産の期待収益率のクロス・セクション構造を前提に、市場ポートフォリオの期待収益率と個別企業の期待収益率が、β(ベータ値)に応じて連動するという仮定が設定されています。

 

~CAPMによる株主資本コストの算定式~

 

株主資本コスト(re)=rf+β(rm-rf)

 

rf リスクフリーレート
β ベータ値(個別銘柄について投資家が認識するリスクを意味する指標)
rm 株式市場全体のリターン(TOPIXの過去60年程度の平均リターン等で代用)
rm-rf マーケットリスクプレミアム
※小規模企業にはこれに加え、サイズ・プレミアムを考慮します。

 

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