リアルオプション法(Real Option Valuation)
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リアルオプション法(Real Option Valuation:ROV)とは、資本予算(Capital Budget)に係る戦略的意思決定をオプション理論技法を活用して分析する手法をいいます。解析式や近似式、多項モデル等をモデル化して柔軟性を含めて評価する手法であり、モンテカルロ法(Monte Carlo Method) 等と組み合わせる場合もあります。
この様なリアルオプション理論は、埋没費用、将来の経済環境のボラティリティ、戦略的意思決定を先送りする可能性、という3条件が揃うケースで、投資等の実行機会が経済主体にとって選択変数であるとするもので、不確実性に晒される様々な分野における意思決定行動分析で利用されています。
リアルオプション法と企業価値評価
R&D主体の企業(例:製薬会社)や急成長中のベンチャー企業等、重要なイベントにより企業価値が大きく上下したり、撤退により大きな損失回避が可能な企業を評価する場合に、リアルオプション法が用いられることが多いです。
経営者による戦略的意思決定、事業リスク、開発成功リスク等を織り込んだ合理的な算定が可能ですが、実務上利用するにあたっては、リスク中立化法やブラックショールズモデル、伊藤のレンマ等、金融工学まわりの幅広い理解が必要とされます。リアルオプション法を M&A 実務で駆使できるほどの洗練されたM&A支援会社は国内において非常に稀有であり、また非常に労力のかかるバリュエーション作業であるため、高度な専門性を有しながらも顧客貢献を徹底追及するようなFAを見つける必要があります。