ゴーショップ条項(Go-Shop Provision)

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 ゴーショップ条項(Go-Shop Provision)とは、M&Aによる会社/事業売却の交渉に際し付与される独占交渉権の代表的な規定として知られ、「特定の買収者との最終契約締結に、売却者が自発的に期間限定で他の買収者候補と交渉し、よりよい条件を得るための活動を許容する条項」と言えます。

 

 取締役の善管注意義務や受託者責任を果たす目的で独占交渉契約に入れられます。

 

 また、「相対方式」により買収価格を抑えたい買主候補者と、「入札方式(オークション方式)」によって競争環境を醸成し売却条件を最大化したい売主との間で締結される、「折衷的な交渉方針」とも捉える事ができます。最終契約締結に、買収交渉に参入してくる第三者はそれ程多くはないため、買主候補者としても許容し易い「競争環境」になるからです。

 

背景

 Go-Shop条項は、日本では普及しておりませんが、一方で米国では広くM&A実務で多用されています。80年代、米国はコーポレート・ガバナンス意識の高まりから、「ビジネス・ジャッジ・メントルール」や「フィデューシャリー・デューティ」の考え方が一般的になりました。

 特に、取締役が負う株主価値最大化義務、所謂、「レブロン基準」により、対象会社の支配権の移動が生じる可能性がある全てのケースにおいて適用されることが示され、M&Aにより対象会社を売却する取締役が売却条件を最大化を図らなければならなくなったことで、現在の米国における「M&A観」の根底が出来上がりました。

 こうした観点から「入札方式」が売主(対象会社取締役)にとって理想的なM&Aプロセスと認識された一方で、取締役のフィデューシャリー・デューティを履行する合理的な方策の一つとして「Go-Shop条項」も用いられるようになりました。

 

Go-Shop期間

 Go-Shop条項を有効に機能させるには、相応のGo-Shop期間を設定する必要があります。「入札方式」と同様、別の買主候補者に実際に打診する期間、新たに獲得した意向表明を対象会社の取締役会で検討する期間、候補者を絞り個別交渉を実施する期間の合計として、一か月弱~二か月間ほどのGo-Shop期間を設定することが実務上多いようです。

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