フィデューシャリーアウト条項(Fiduciary-Out Clause)

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 フィデューシャリーアウト条項(Fiduciary-Out Clause:FO条項)とは、英米型の M&A 契約で一般的な条項であり、他の買主候補からの買収提案を検討しないことが、売主側の取締役の「Fiduciary-Duty」に違反する場合には、売主側の取締役が取引保護条項に基づく契約上の義務から離脱することを認める条項をいいます。

 

 FO条項は、あくまで取引保護条項の例外規定ですので、安易な例外規定の適用を防止するために、当該M&A取引から離脱する際に売主が買主に対して、一定の違約金を支払う義務を規定した、Break-up Fee条項を共に定める場合が多いといえます。

取引保護条項の例外規定

 FO条項でポイントとなる「Fiduciary-Duty」を日本法的に解釈すると「善管注意義務・忠実義務」に相当します。

 

 M&A取引のクロージングに差し掛かっている状況下で、他の買主候補からの有利な条件での提案や、企業価値向上に資する様な対抗提案がなされた場合などに、売主の取締役はある問題に直面します。

 

 それは、①取引保護条項に基づく契約上の義務と、②善管注意義務・忠実義務に基づく法令上の義務の2種の相反する性質の義務履行を強いられることになり、当該問題に同時に対処することが困難となる可能性があるからです。

 

 そのためFO条項は、売主側に課される義務の内容・程度が強い条項(ノートーク条項・ノーショップ条項等)とセットで規定されることが多く、法令上の義務を優先することを明確化する目的で利用されます。

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