株式譲渡
« Back to Glossary Index
株式譲渡とは、株式会社(対象会社)の発行済株式を譲渡する行為をいいます。M&A業界では、代表的なM&A手法として知られており、一般的に、支配権移転を伴う株式の譲渡行為を「株式譲渡」と呼びます。
ポイント
「譲渡」という概念上、有償か無償かを問われませんが、株式の有償譲渡(=売却)を「株式譲渡」と呼ぶことが大半です。株式譲渡の取引方法には、特定の株主(大株主等)との相対取引、市場内取引、公開買付け(TOB)に応ずる取引によるものがあります。
対象会社が上場会社等であり一定の要件に該当した場合、公開買付規制(TOB規制)が適用されます。また、取引対象の株式に譲渡制限が付されている場合には、所定の譲渡承認手続きを行う必要があります。
また、平成26年度会社法改正により一定の基準を超える重要な子会社の株式譲渡については、親会社において株主総会特別決議による承認が必要となりました。
株式譲渡と事業譲渡の比較
株式譲渡と事業譲渡はよく比較されるのですが、以下の要素を勘案しながらスキームを検討する場面はよくあるものです。
- 買収者(譲受会社)側の税務上ののれんの償却可否(事業譲渡であれば可能)
- 繰越欠損金の引継ぎ(株式譲渡であれば可能)
- 売却者側の対価受領主体が異なる点(株式譲渡は株主、事業譲渡は譲渡会社)
- 偶発債務・簿外債務等リスクの引継ぎの遮断(事業譲渡の場合、偶発債務・簿外債務等リスクの引継ぎを遮断しやすいという見解もある)
- 手続きの煩雑性(事業譲渡はやや煩雑)
- 対象事業が許認可を要する事業である場合の引継可否
- 雇用条件の変更の有無(有りなら事業譲渡) etc.