カニバリゼーション(Cannibalization)

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 カニバリゼーション(Cannibalization)とは、「共喰い」を意味する言葉で、一般にマーケティング用語としての文脈では、自社や自社グループの財・サービス同士が競合し、互いの顧客や市場シェア等を奪い合う現象を示します。

 

 カニバリゼーションは、マーケティングの視点から2つに大別でき、「アナジー効果の発生を伴うカニバリゼーション」と「シナジー効果 の発生を伴う戦略的カニバリゼーション」に分けられます。

カニバリゼーションとM&A

 カニバリゼーションの発生には殆どの場合、アナジー効果が伴います。例えば、広告代理店が化粧品会社を買収した場合に、買収された化粧品会社と買収者である広告代理店の顧客が競合することにより、既存の事業取引が減少してしまうようなケースです。

 

 広告代理店の顧客としては、「競合を買収した広告会社に広告を発注することはできない」と考えるのはきわめて自然な反応であり、統合戦略の策定や統合作業の実施にあたっては、こういったアナジー効果には十分に注意する必要があります。

 

 一般に、M&A取引後の統合プロセス(PMI)において、マーケティング・販売機能の統合には非常に多くのリスクが伴うとされています。特に、国内企業同士(In-In)のM&A事例では、ブランド統合や販売拠点統合の失敗等により、カニバリゼーションによるアナジー効果が発生するケースが多く散見されます。

 

 一方で、意図的にカニバリゼーションを引き起こし活用することで、中長期的目線で、市場優位性の強化や顧客基盤の盤石化等を図る「戦略的カニバリゼーション」という経営手法が存在します。

 

 自社内もしくは自社グループ内に「競争環境」を醸成し、個々の流通チャネルや営業・販売組織等に売上を競わせることで全体最適化を図る方法や、同一市場に自社の財・サービスを投下し、「どれを選んでも自社のものという状態」を作り上げることで競合を排除し、参入障壁を築く方法等があります。

 

 例えば、特定の地域に集中的に販売拠点を展開し、当該地域における市場シェアを高める「ドミナント戦略」の推進のため、当該地域に拠点を構える類似会社に絞ったM&Aを繰り返すといったことも考えられます。

 

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