エクイティDCF法(Equity Discounted Cash Flow Model)

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エクイティDCF法(Equity Discounted Cash Flow Model)とは、株主に帰属するCFを株主資本コストで割引き、株主価値を算定する方法です。金融機関(銀行業等)の分析・評価に適した手法として有名であり、「エクイティキャッシュフロー法」や「株主価値DCF法」とも呼ばれます。

エクイティDCF法による「銀行業」の企業価値評価

 実は、銀行と一般企業とでは、「負債」の存在意義が大きく異なっております。そして、その違いにエクイティDCF法が銀行業の企業価値評価に適するとされる所以があります。

 

 一般企業における負債の位置付けとしては、機動性や柔軟性を有する資金調達手段であり、自己資本とともに投下資本として事業に投下されるものです。そして一般企業は事業を通じて営業収益を獲得していきます。この一連のプロセスに係る資金調達等を「財務活動」、事業等を「営業活動」として捉え、それぞれは独立した経営活動として認識します。この様な考え方は、将来的に資本構成が目標値に収束する過程のもと、加重平均資本コストで将来FCFを割り引く「エンタープライズDCF法(Enterprise Discounted Cash Flow Model」の理論の実態に沿っています。

 

一方で銀行業では、負債の大半を占める預金は、一般企業における負債の様に事業資金として自社事業用の設備投資等に投下されるのではなく、融資やトレーディング等で資金運用するための原資として充てられます。すなわち、銀行業における負債は、正味金利収益やトレーディング収益等を生み出すための「商品」としての役割を果たしており、資本構成の決定等の資金調達行為自体が事業の一環であり又根幹をなすものであるため、一般企業の様に「事業」と「財務構成」を分離して考えることができません。

 

 したがって、営業CFと財務CFの双方を含有する「株主に帰属するCF」をベースに「資本構成の変化」を精緻に織り込みながら企業価値評価をする必要があり、こういった理論的背景から銀行業等の金融機関、その他ファイナンス関連事業会社では、「エクイティDCF法」による評価が理論的に適切であると考えられています。いうなれば、金融機関等の M&A 取引で用いられるバリュエーション実務では、そのビジネスの特殊性を加味しエクイティDCF法という特殊な手法が採用されることになります。

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