スタンドアローン価値(Stand Alone Value)
スタンドアローン価値(Stand Alone Value)とは、M&A用語で、シナジー価値等のプレミアムを加算しない、単独で自律する売却対象企業又は売却対象事業の本質的な価値をいい、単体価値、単独価値とも呼ばれます。
スタンドアローン価値とスタンドアローン問題
売却対象が子会社や特定事業等の場合には、親会社や他の事業部門とのシナジー効果を享受している(又はアナジー効果を被っている)可能性があり、このケースにおいてスタンドアローン価値とセラーズバリューに乖離が生じます。この乖離が生じる現象はスタンドアローン問題(スタンドアローンイシュー)と呼ばれており、カーブアウト型M&A等におけるM&A交渉において激しい議論になります。
特に、当該問題の発生要因となり得るものが、対象事業、残存事業との共用資産、契約機能等の切り分けや、共用資産等に係る付随契約の要否及びその条件といわれています。実務上、DD等には時間的・費用的制約があるため、買主としてはスタンドアローン問題を完全に解消することは不可能であり、買収対価を相当額分減額しようと買収交渉します。
一方、売主としては、自社内又は自社グループ内にシナジー効果が発生している場合に、取引が成立するか分からないM&Aの為に、事前に当該シナジー効果を解消する理由は当然ながら殆どありません。また、M&A後の残存事業にも一定以上の悪影響が発生する可能性があるため、売主としては、当該シナジー効果相当分をスタンドアローン価値に上乗せ価額帯をベースに、今度は売却対象と買主とのシナジー効果を盛り込んで貰おうと売却交渉します。
この様な理由からカーブアウト型M&Aにおいては、当事者双方が自社への影響の見極めと対応策の考案が重要といえます。売主側がカーブアウト型M&Aの際に実施するセルサイドDDの一種を、 リバースデューデリジェンス(Reverse Due Diligence) と言ったりもします。