ノートーク条項(No-Talk Provision)
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ノートーク条項(No-Talk Provision)とは、M&A等の取引当事者間で締結される有名な取引保護条項(「取引保護措置」ともいう。)の一種で、一定期間にわたり、第三者(他の買主候補者)に対する未公開情報の提供や、第三者との協議・交渉等を一切禁止する取り決めです。「接触禁止条項」とも呼ばれます。
特徴と法的考察
日本では一般的ではありませんが、ノートーク条項は米国におけるM&A実務で散見されます。しかしながら米国でも、売主側の取締役やFA、その他関係者に対する「過度な制約」が問題視されており、除外規定がない場合等は当該法的拘束力は否認される判例が多々見られ、ノートーク条項は通常、除外規定ともに独占交渉契約に盛り込まれます。
なぜ米国で、この様に「過度な制約」が法的論点とされているかというと、潜在的な買主候補者との接触を完全に禁止する当該規定は、対象会社の取締役が「フィデューシャリー・デューティー」に基づき、「インフォームド・ジャッジメント」をすることを妨げる事由になり得ると考えられているからである。
一方で、例外として最終契約(Definitive Agreement)の締結に先んじて、第三者からの対抗的買収提案が行われる機会を総合的かつ十分に確保していた場合、当該ノートーク条項の法的拘束力を許容できるとされている。