アモチゼーション(Amortization)

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 アモチゼーション(Amortization)とは、無形固定資産にかかる償却費(①)や借入金の分割返済(②)を意味する金融用語です。また償却原価法による満期保有目的債権の損金経理などを意味する場合もあります。

アモチゼーション(①)とマルチプル法

 M&Aでの類似会社比較法による企業価値評価という観点において、アモチゼーションは当該対象会社の特性により、事業運営上「1.利益指標(EBIT)に足し戻すべきではない償却費」と「2.利益指標(EBIT)に足し戻しても良い償却費」の2つに分類して考えることができます。

1.利益指標(EBIT)に足し戻すべきではない償却費

 ソフトウェア償却費等の更新投資が必要なアモチゼーションに関しては、有形固定資産にかかる減価償却費(Depreciation)と同様に、将来的な更新投資のための「貯金」としての側面を有しています。

 したがって、事業運営上必要な更新投資額を使用期間に応じて期間按分し、ソフトウェア償却費等という形で損金経理する場合、EBITDA(=EBIT+Depreciation+Amortization)等を企業価値評価手法に用いることは、現実的なコスト(減価償却費やソフトウェア償却費等)を無視し、低く見積もることになります。 

2.利益指標(EBIT)に足し戻しても良い償却費

 一方で、のれん償却費などの一部のアモチゼーションは、将来において償却が完了した際には、定常的・追加的に発生しうるものではありません。将来的な更新投資が行われないため、「貯金」をする必要がないからです。

 関連して、EBITA(=EBIT+Amortization)という利益指標がありますが、これはまさに有形固定資産にかかる減価償却費(Depreciation)を足し戻さない、つまりコストとみなした上での利益指標です。またこれは、無形固定資産にかかる償却費を足し戻すことで、企業の実際の収益力を反映させたものとも言えます。

 このような業容の観点から企業価値を如何にして算出していくかを検討することが、本来最も重要なことです。たとえ業種業態が近しいものであっても「類似会社」として評価することが適さない場合が多々あり、その様な間違いを起こした状態のまま企業価値を算出してしまうと実質的な評価額(バリュエーション)と大きく乖離してしまいます。

アモチゼーション(②)と買収ファイナンス(LBO)

 貸付金融機関が提供する長期資金融資の一種で、買収資金及び対象会社グループ会社の既存借入金の返済を資金使途として実行されるタームローンは、その返済方法に応じてタームローンA(TLA)とタームローンB(TLB)に二分されます。

 そのうちタームローンAでは、返済期間中に債務の均等分割返済するフル・アモチゼーションという形式を取ります。予め決められた借入返済スケジュール(リペイメントプラン)に基づき債務償還が行われます。

 貸付金融機関は、買主(借り手)候補者が作成した事業計画やデューデリジェンスレポート(DDレポート)等を審査し、リスクシナリオ分析に基づき毎期の弁済金額を決定します。 

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