分割型分割(人的分割)

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 分割型分割(人的分割)とは、分割会社の株主に対し権利義務の包括承継の対価(分割対価)が分割期日に交付される形態の会社分割をいいます。

 

 分割型分割は講学上、①物的分割と②分割会社による剰余金の配当又は全部取得条項付種類株式の取得対価の交付、の2つの行為が組み合わされて構成されていると捉えられています。

分割法人の課税関係

 当該分割が税制適格か非適格かにより、分割法人の課税関係は決定されます。税制適格の分割型分割に該当する場合、分割対象の資産負債の分割時の時価簿価差額の譲渡損益に係る課税が繰り延べられます。

分割会社の株主の課税関係

 分社型分割(物的分割)の場合、分割対価が分割法人の株主に交付されないため、株主に係る課税関係は生じませんが、分割型分割(人的分割)の場合には、みなし配当課税と株式の譲渡損益課税が発生します。

 

 みなし配当課税の要否は、税制適格か非適格かで区別されます。適格分割型分割では、みなし配当課税は発生しませんが、非適格分割型分割では、みなし配当課税が生じ、分割法人は当該額について源泉徴収を行う必要があります。

 

 一方、株式の譲渡損益課税は、分割対価の性質により課税関係が決定します。分割対価の全部が分割承継法人の完全親会社の株式(三角分割)又は分割承継法人の株式である場合には、税務上譲渡損益は認識されません。

 

 しかし、上記以外の場合には、当該交付株式に係るみなし配当の額を控除した分の譲渡損益が税務上認識されます。

分割承継法人の課税関係

 分割承継法人では、資産負債の取得に関して法人税の課税関係は生じません。しかしながら、当該分割型分割が税制適格か非適格かにより、当該資産負債の取得価額の認識が異なります。

 

 税制適格の分割型分割の場合には、分割直前の分割法人の当該資産負債の帳簿価額相当額が、分割承継法人の取得価額として認識され、資産調整勘定は発生しません。

 

 一方、非適格の分割型分割では、分割時点での当該資産負債の時価評価額が、分割承継法人の取得価額として認識されます。

 

 また、この際、分割法人の分割直前において営む事業及び当該事業に係る主要な資産負債の概ね全部が当該分割により分割承継法人に移転する場合には、資産調整勘定又は差額負債調整勘定の発生要件に該当することになります。

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