コントロール・プレミアム(Control Premium)

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コントロール・プレミアム(Control Premium)とは、企業の支配権に大きな変動が生じる株式の売買取引の際にシナジー効果等を加味し認識され、直近の株式価値に上乗せされた、追加支払い分の代金のことをいいます。

 

一般に、上場会社又は非上場会社の支配権の獲得等を目的としたM&A取引では、「買収プレミアム」とも呼ばれます。また、株式非公開化や上場企業のM&A等を目的としたTOB(公開買付)案件では、主に「TOBプレミアム」とも呼ばれます。

 

また、スタンドアローン価値に上乗せされるプレミアムの大半が、シナジー効果に起因するものであるため、「シナジープレミアム」(シナジー価値)とも呼ばれます。

マイノリティ・ディスカウントや非流動性ディスカウントとの違い

証券取引所では一般投資家(少数株主)により日常的に上場企業の株式の売買取引が行われておりますが、当然ながら、日々の市場環境下では大規模な支配権の変動の可能性は殆ど株価に織り込まれておりません。

 

これはTOB規制による影響が大きく、TOB規制では株式等の大量の買付けの結果、会社支配権等に影響を及ぼし得る様な取引についてTOBの実施が義務付けられています。このため、コントロール・プレミアムを認識した証券取引は通常行われません。

 

しかしながら、TOBの実施により証券市場外で株式等を大量に取得し大規模な支配権の変動が生じる場合、新たに支配株主となる者は支配株主(コントロール)価値を認識し、逆に新たに少数株主となる者(旧支配株主)は少数株主(マイノリティ)価値を認識します。

 

一般に支配権等の有無の観点から、「支配株主価値」≧「少数株主価値」となることから、支配権等の喪失による価値低下のことを「マイノリティ・ディスカウント」と呼びます。このマイノリティ・ディスカウントとコントロール・プレミアムは表裏一体になります。

 

実は、友好的又は敵対的なM&A取引以外にもTOBは実施されています。親子上場関係の解消等を目的に企業再編戦略上の観点から実施される非上場化又は非公開化、敵対的買収に対する買収防衛策の構築、雇われ経営者やファンド等が上場企業を自己所有化する(MBO)案件等、が代表例です。

 

この様な場合でも、支配株主はより一層の支配力を有することとなるため、当然、コントロール・プレミアムが加わった買収金額でTOBをすることになります。

 

大量に株式等を買い集めた後、非上場化又は非公開化する場合、当該対象会社の株式等を不特定多数の投資家と自由に売買できなくなります。ここで、支配株主と少数株主の双方が流動性リスクを認識するため、非流動性ディスカウントを認識します。

 

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