事業
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事業は、判例上、「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む)」と定義されています。
客観的意義と主観的意義
判例にいう「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む)」とは、事業の「客観的意義」として捉えることができます。
そしてその客観的意義の事業(組織的財産)を、実際に取締役や従業員等が人力で運営して、株主の利益を追求する行為を「事業活動」といい、事業の「主観的意義」として認識されています。
事業の主観的意義(事業活動)の法的解釈は、当該「財産によって営まれる活動」と表現されます。
事業の「重要な一部」とは
事業譲渡は、①譲渡会社の事業の全部譲渡と②譲渡会社の事業の「重要な一部」の譲渡により構成されます。そのため、事業譲渡によるM&A取引の場合、譲渡対象事業が譲渡会社の事業の「重要な一部」に該当するか否かが譲渡会社サイドで検討されます。
なぜなら、該当しない場合には譲渡会社において株主総会の特別決議を省略することができるからです。そのためM&A実務上、事業譲渡取引のスムーズなクロージングに向けて会社法における「形式基準」の要件に該当するか否かが焦点になります。
現行の会社法における「形式基準」では、たとえ事業の「重要な一部」に該当する場合であっても、譲渡対象事業に係る資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産額の5分の1またはこれを下回る割合で定款で定めたものを超えないものについては、株主総会の特別決議は不要とされています。