インフォメーションメモランダム(Information Memorandum)
インフォメーションメモランダム(IM:Information Memorandum)とは、M&Aにおける対象会社の「詳細説明資料」を意味します。CIM(Confidential Information Memorandum)とも呼ばれます。
IMは入札取引、相対取引を問わず、売主により対象会社や対象事業の情報を適切に整理して買収者候補へ伝えるための書類です。売主とFAが共同して作成していきます。
特に、売主と買収者候補が初期段階で接触しない場合の多い入札取引では、買収者側が買収検討にあたって必要となる情報が何かという点を深く検討したうえで作成されています。もちろん、相対取引でも重要ポイントや訴求ポイントを記載したIMを作成することは交渉戦略上も非常に有効です。
IMの「ビジネスフロー」の記載ポイント
「事業内容」にある「ビジネスフロー」という項目は、最も重要なコンテンツの1つとなるので、この項目のみ説明します。読み手(買収打診先企業)がこの資料をみた際に、即座にビジネスモデルが理解できるように作成していきます。基本的には、以下の図で例示しますが、チャート形式で図を作成し、場合によって文章で補足していきます。ビジネスフローの記載のポイントは以下のとおりです。
上記の図は、「求人メディア運営事業」のビジネスフローを想定したものです。同社では「独自アルゴリズム」による広告表示を強みとしている設定でビジネスフローを描きましたが、実際にはより細かい点も含めた記載をすることにより具体的に強みの存在を訴求していきます。特にポイントとなる事項や、自社のどの組織がどういった業務を行っているかに注意して記載するとよりわかりやすいものになるでしょう。
・資金の流れと商品・サービスの流れ、決済方法の明記
ビジネスフローでは必ず商品・サービスの流れ、お金の流れ、決済方法を明記しますが、それぞれの仕組みまで記載するとよりわかりやすくなります。
・自社商品・サービスの仕入元、自社、自社の顧客の立ち位置を明確化する
卸売業であれば、卸元、自社、自社顧客がビジネスフロー上に記載される主体となります。また、自社の人材が特に重要な原価構成要因であるようなビジネスモデル(開発会社、美容院等)の場合は、採用チャネルを記載することとなります。
・製造機能の明示
自社が製造機能をもつ企業であれば、製造プロセスの明示、外注先の明示を行うことでよりビジネスフローがわかりやすくなります。
・仕入チャネル、販売チャネルはその種類に応じて「分ける」
たとえば、顧客への販売チャネルが「直接」「代理店経由」に分かれる場合は、そのように分類して記載することでより読み手が理解しやすくなります。
また、仕入チャネル、販売チャネルが複雑な事業モデルであれば、それぞれのチャネル、取引高をリストアップし、場合によってはIMの別ページに解説を加えることで、ビジネスモデルがよりわかりやすくなるでしょう。
・重要な部門の明示
対象会社のビジネスモデルの中で特に重要な役目を果たす部門については、可能な限りビジネスフロー上で表現していくとよいでしょう。それにより当該部門がビジネスモデル上のどの部分に位置する業務を行っているのかがわかりやすくなります。
・高い価値をもつバリューチェーンの明示
自社事業の中で他社と明確な差別化がなされているポイントについては明示することが重要です。たとえば、エステサロン経営会社でエステシャンの管理・教育について他社と明確な差別化がなされているという場合であれば、ビジネスフローの中に「教育が強い」という表現を入れるとよいでしょう。
これらのポイントに注意しながら、誰がみてもビジネスモデルが理解できるようなビジネスフローチャートを記載していきます。
紹介
IMのその他項目の作成について深く理解されたい方は是非、こちらをご参照下さい。