ネットアセットアプローチ(Net Asset Approach)
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ネットアセットアプローチ(Net Asset Approach:純資産法)とは、代表的な企業価値評価アプローチの一種で、評価対象会社の貸借対照表(BS)に計上されている資産負債のネット(差額)である純資産額を基礎にして株式価値を算出する方法をいいます。
また、過去事業を形成するためにアセットの購入代金として支払ったコストとしての簿価、再調達時価により同質の事業の再構築するに必要なコストとしての再調達時価等といった解釈から、コストアプローチ(Cost Approach:純資産法)とも呼ばれます。
ネットアセットアプローチには、簿価を用いる簿価純資産法と、時価を用いる修正純資産法があり、解釈・区分によっては超過収益法も該当します。
超過収益法とは
超過収益法とは、期待事業収益からキャピタルチャージを控除することで、評価対象の無形固定資産が事業年度あたりに創出する期待超過収益であるとの考えのもと、当該無形固定資産の価値を算定する方法です。具体的には以下の手順で算出します。
- 評価対象の無形固定資産が活用されている事業の各期の期待事業収益を算定する。
- 当該事業に係る、評価対象無形固定資産を除く、1つ1つの経営資源(有形固定資産、人的資産、運転資本、評価対象外無形固定資産)に対して期待収益率を設定する。
- ②で求めた個別の期待収益率を合算し、各期のキャピタルチャージ(期待値)を算出する。
- 期待事業収益からキャピタルチャージを控除し、各期の期待超過収益を算定する。
- 将来、当該無形固定資産が、経済的耐用年数に亘り期待超過収益を創出するとの仮定のもと、当該無形固定資産のリスク度合いに応じて割引率を設定し、現在価値評価を行う。
この様に評価対象無形固定資産の期待超過収益を算定するので、インカムアプローチ的であるとも言えます。ではなぜ、超過収益法がネットアセットアプローチに分類されるのでしょうか。
これは、当該無形固定資産評価にあたり、 期待超過収益からキャピタルチャージとのネット(差額)をしているため該当するとの見解が一例として挙げられます。
また、米国では「アセットアプローチ(Asset Approach)」と呼ばれていることから、個々のアセット(資産)の価値に着目する評価手法に含めるべきとも考えられます。