シリアルアントレプレナー(Serial Entrepreneur)
シリアルアントレプレナー(Serial Entrepreneur)とは、「起業⇔EXIT」を繰り返す連続起業家を意味し、0から1を生み出すことが得意な起業のプロとして、数々の革新的なビジネスモデルや技術を世に創出する存在です。
起業先進国と称されるアメリカでは、シリコンバレーを筆頭にスタートアップ市場が活況を帯びております。VCやエンジェル投資家等がコンバーティブルノート(CN)等を利用した資金提供に積極的であることや、会社/事業の売却が成功との認識が浸透し、IPOによるEXITに固執せず、M&Aに前向きであること等が要因として挙げられます。
冷却期間と再創業
「シリアルアントレプレナー」として再創業しようと考える多くのM&Aイグジット経験者は、売却直後に「冷却期間」をもちます。これは特に若い経営者に顕著です。
世界一周旅行へ行く方、シンガポール等でベンチャー市場をみて回る方、アメリカに行って再創業する方等、個人によってやることは違いますが、多くの場合、「冷却期間」中に次に何をすべきかを考えます。
そして、その多くのケースにおいて、「次はもっと大きいことがしたい」「世界を巻き込んだビジネスをしたい」という考えに至るようです。
日本の場合、初回起業では「できるビジネスは何か?」という観点で事業を開始する起業家が多いのに対し、「M&Aイグジット」により資金的余裕ができた者の再創業では「自分が本当にやりたいことは何か?」「大きなインパクトを与えるビジネスは何か?」という視点で再創業しやすくなります。
また、このような形で再創業した起業家が経営する企業に対しては、資金を出す側からしてもある程度の高いバリュエーション(株主価値)をつけた大口投資がしやすくなります。一度「M&Aイグジット」で成功した起業家がオーナー社長を務める会社であれば期待や信用も高くなるからです。
さらには、再創業時に始める事業は、その事業内容自体が世界市場に目を向けた、潜在性が非常に大きい事業であるケースが多く、ある程度合理的に高いバリュエーションを算定できる場合が多いのです。これにより、シリーズA位の段階から大きな資金調達が可能となってきます。
また、非上場会社であれば、非常にチャレンジングかつ長期的目線に立った事業を大きな資金をもって進めることもできるようになります。このような流れは日本の産業育成の追い風になると考えられます。